誰がために

今この瞬間も、コロナ禍でリーマンショックを上回る規模の企業倒産が相次ぎ、10万人を超える失業者が出ています。

そんな中でも、乱暴に言えば10万人が衣食住を失い命の危険に晒される事もなくかろうじて生活出来ていることは、今の日本の優秀な部分と改善の必要を同時に見せつけられているような気持ちになります。

日本を代表する研究者、山口周さんは「物質的貧困」はほぼ解消されていると説いています。NHK文化研究所「日本人の意識調査」によれば「物質的満足度」は非常に高いスコアにある事もわかっています。ただしこれは「個人が生きていく上で最低限必要なものが充実している」という前提条件なのは何となく察しが付くと思いますが…。

つまり「食って寝てスマホいじくってたまにAmazonで衝動買いしちゃう」くらいの生活は守られているという事です。世界的に見たらもう100点をあげてもいいくらい優秀ですね。ですが、実際には出生数が加速度的に減少し、貧富差は大きくなるばかり。子供の貧困率はOECD諸国で最悪の数値となっており、政治や大企業がこれを是正しようという素振りは今の所ありません。

長ったらしい導入でしたが、つまりこれからの時代は個人の「豊かさ」の定義を変えていかなければならないのです。

「星の王子さま」で知られる作家サン・テグジュペリは次のように述べています。

人間であるということは、まさに責任を持つことだ。おのれにかかわりないと思われていたある悲惨さをまえにして、恥を知るということだ。おのれの石を据えながら、世界の建設に奉仕していると感じることだ。
アントワーヌ・ド・サン・テグジュペリ『人間の大地』

それは、資本主義的な思考や働き方から、本来人間が持つ暖かさを取り戻す事を示しています。個から群れに、群れからコミュニティへと生き方を進化させてきた私たち人間が、個の利益だけを追求した結果、今のような事態を招いているのです。

ビジネスシーンにおいて成功や勝利を声高に叫ぶことは陶酔です。それは心地よくエキサイティングで誰もが欲するものであることは否定しません。しかし、それを目的として活動する事は短期的な豊かさを追い求めることに他ならず、必ず綻びを生みます。

これからの時代に真に人間として恥じることなく生きていくために、未来のために、心を震わせる感動を誠の報酬として得るために。一つひとつ人生の選択肢を自身の欲望でなく大勢の喜びのために。そうした皆さんの心に共感する仲間が集まったとき、経済的な成功は気がついたら足元に転がっているでしょう。目的と手段を違えなければ、必ず手に入るのです。

そのための最良のプラットフォームを提供する事が、私の使命だと考えます。縁した皆さんと共に、これからご縁するたくさんの方々と共に、この世界を少しでも良いものにするために力を尽くしていきます。